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2018-senbonmatsu

ロボットの感情表出動作に合わせた芳香提示装置の開発

1. 背景と目的

 近年、パートナーロボットやペットロボットなどの人間とコミュニケーションをとるロボットの開発が盛んに行われている。人間同士のコミュニケーションでは言葉や声のトーンだけでなく、表情などを用いて自分の感情を伝えている。このことから、ロボットと人間の円滑なコミュニケーションのためには、ロボットが抱いている感情を分かりやすく表す方法を持つことが必要であると考えられる。

 従来のヒューマノイドロボットの感情表出手法では、人間の五感の中で視覚や聴覚に働きかけるものが多い。しかし、顔の表情や言葉を持たない非人型のロボットなどでは、主に動作を用いて感情表出を行う必要があるため、意図した感情を表出することが難しいという問題がある。一方で、これまでに、人間の嗅覚に働きかける感情表出手法の研究は行われていない。そこで、私は、感情表出動作(感情表出を目的とする動作)による表出の効果を高めるために、芳香提示を用いることができるのではないかと考えた。

 本プロジェクトの目的は、ロボットの動作に合わせて芳香を提示する装置により、感情表出の効果を高めることである。


2. 手法

 PCのプログラム上から芳香提示のON/OFFを切り替えることができる装置を開発する。開発した芳香提示装置と感情表出動作を行うロボットを、PCのプログラムによって同時に制御することでこれらを連動させる。


3. 芳香提示装置開発
3.1 装置の概要

図1に示すように、開発した装置は、
 ・芳香発生部
 ・電源、Arduino、ブレッドボード、配線の収納ケース
 ・制御用PC
 ・装置を装着するロボット
の4つの部分で構成される。今回は、装置を装着するロボットに、ソフトバンクロボティクス社のヒューマノイドロボット「Pepper」を用いた。また、提示する芳香にはラベンダーの精油を、Pepperの動作にはプリインストールのモーションであるRelaxation_1を用いた。


図1. 芳香提示装置の全体図


3.2 芳香発生部

 図2に示すように、芳香発生部は、モバイルディフューザー、アクチュエータ、および3Dプリンタで作成された5つの部品で構成されている。今回は、モバイルディフューザーにアットアロマ社の「funfan」、アクチュエータに「Tower Pro SG92R マイクロサーボ」を用いた。図3は、アクチュエータが自動的に芳香のオンオフを切り替える機構を示している。図3の(1)に示すように、アクチュエータがモバイルディフューザーの本体を押すことで(2)のようにモバイルディフューザーがケースの壁面に向かって移動し、(3)のようにモバイルディフューザーのスイッチ部がケースの壁面に当たることでオンオフが切り替わる。


図2 芳香発生部の構成


図3 モバイルディフューザーのスイッチを操作する機構


3.3 アクチュエータ

 図4はアクチュエータを制御する回路である。


図4 アクチュエータ制御回路


4. 結果と考察

 今回、芳香提示装置のプロトタイプを作成し、ロボットの動作に合わせて芳香提示を行うことができることを確認した。

 しかし、依然として改善しなければならない様々な要素がある。まず、この装置はPepperの腕に固定して取り付けるように設計しているため、Pepperの腕が動くときに芳香発生部の向く方向も変化してしまう。芳香を効率的に提示するためには、装置が常に人の顔の方向に向くようにする必要があると考えられる。次に、提示したい時間および提示したい空間以外にも芳香が拡散してしまう。そのため、芳香提示の指向性を高める対策を講じるとともに、提示を行わないときの装置の気密性を高める必要がある。三つ目の問題として、提示する芳香の強度が弱く、拡散範囲が小さいことが挙げられる。この問題については、芳香提示部の前部に送風ファンを設置し、このファンについてもPCから制御することで改善が見られた。最後に、今回のプロトタイプでは、1種類の芳香を提示する機能に限られているが、実際には、ロボットの感情に合わせて、複数の芳香を使用する必要がある。そのため、複数の芳香の切り替えや混ぜ合わせを制御する機能が必要であると考えられる。


5. まとめ

 本プロジェクトでは、装着型の芳香提示装置を開発することで、ロボットによる感情表出動作と芳香提示をPCから同時に制御することできた。 今後は、4.結果と考察の項で述べた問題点を改善したのち、被験者実験を行い、芳香の提示がロボットの感情表出表出の効果を高めるかどうかを確認したいと考えている。


6. 感想

 田中研究室に卒研配属されてからの2ヵ月間で行った本プロジェクトにより、多くのことを学ぶことができた。テーマを決めて研究を行い、それらをまとめて発表するという流れは、今後も基本となるものであると思うので、この経験を活かしてより良い研究ができるように頑張っていきたい。