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研究内容

私たちは、少子高齢社会や日本の未来をふまえたITやロボット技術の研究を行っています。

以下、まずはこれまで10年間以上にわたり続けてきている子どもとロボットに関する研究活動について説明します。これらの活動は世界的にも高い評価を得ており、現在も発展継続しています。

  • 子ども-ロボット研究
  • 世界の子どもたちをつなぐ遠隔操作ロボットシステム(JSTさきがけ研究)
  • ケア・レシーバー型ロボットを用いた子どもの教育支援(科研費・若手研究(A))
  • ソフトバンクロボティクスPepperの教育志向アプリ開発

続いて、近年新たに開始した以下の研究活動について説明します。

  • 子どもと高齢者:世代をつなぐ知的インタフェースの研究(科研費・基盤研究(A))
  • 発達障害者の感覚過敏データ収集と支援技術の開発(科研費・新学術領域研究)
  • 言いっぱなし聞きっぱなしSNSの開発

最後に、田中研に配属が決まった卒研生が最初の二か月間で行う自由課題のプロジェクトについても紹介します。

  • First Two Months Project (FTMP)

子ども-ロボット研究

子どもとロボットの研究は、ヒューマン・ロボット・インタラクション(Human-Robot Interaction: HRI)という新しい研究分野の中でも非常に注目されている研究テーマです。ここには、発達科学への貢献などサイエンス指向の研究と、教育活動支援など工学的有用性指向の研究が表裏一体となって行なえる醍醐味があります。これまで我々は、本研究テーマにおいて世界的に知られる先駆的な研究活動を行ってきています。

代表的な研究として、以下の写真は、2004年~2007年にカリフォルニア大学サンディエゴ校の付属保育所で行った、長期フィールド実験において撮影されたものです。ここでは、2歳未満の子どもたちが居る教室に、小型の人型ロボットを約半年間にわたり通わせて、子どもたちを飽きさせないロボットの必要条件を探索しながら、子どもとロボットがどのように仲良くなっていくかを様々な方法論から分析・調査しました。

本研究は世界中で注目され、学会のみならず数多くのメディアに報道されました。主要成果を記した下記の論文は、子どもとロボットに関する研究領域の代表的な一文献として、ロボット分野の枠を超えて、多くの方々に読んで頂いています。

  • Fumihide Tanaka, Aaron Cicourel, Javier R. Movellan: Socialization between Toddlers and Robots at an Early Childhood Education Center, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA (PNAS), Vol.104(46), pp.17954-17958, 2007 [pdf, 801KB] [The movie files referred in this paper are also available at the PNAS web: here]

子どもとロボットの研究全般に関して、大事なことは、このテーマが社会の重要課題や人々の興味・期待と密接に関わるものであり、有意義な社会貢献につながり得る可能性を秘めていることです。それゆえ我々は、研究室の外に出て人々と関わり合い、一般の目線を持ちながら研究活動を行うことを重視しています。

世界の子どもたちをつなぐ遠隔操作ロボットシステム

< JSTさきがけ「情報環境と人」領域 採択研究課題(H21~H24)>

幼少の子どもでも難しい説明なしに操作可能な分身ロボット(テレプレゼンスロボット)を開発し、外国の教室に置かれたこのロボットを操作してもらうことによって、外国の教室活動にリアルタイム参加可能なシステムを開発しました。

 

遠方にいる人々との間で言語の壁があったとしても、身ぶり手ぶり(ジェスチャー等)を通じて意思疎通が可能であり、また、現地を物理的に移動して物体を把持することも可能なため、物体の手渡しなどを通じてリアルなコミュニケーションが行えます。

また、ビデオ会議などによる対面設定では外国人を目の前にして固まってしまう子どもたちも、本インタフェースにおいては固まらずにリラックスして楽しみながらコミュニケーションを行えることが判明しており、この性質を活かした英会話教育への有用性も判明しています。

さらに、実際にオーストラリアと日本の教室を本インタフェースで接続したフィールド実験も行い、各方面から非常に高い評価を得ています。

より詳しい内容については、以下の論文を御参照下さい。

  • Fumihide Tanaka, Toshimitsu Takahashi, Shizuko Matsuzoe, Nao Tazawa, and Masahiko Morita: Telepresence Robot Helps Children in Communicating with Teachers who Speak a Different Language, Proceedings of the 2014 ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interaction (HRI 2014), pp.399-406, Bielefeld, Germany, March 2014 [free pdf available at ACM DL here, 1.1MB]
  • Fumihide Tanaka, Toshimitsu Takahashi, Shizuko Matsuzoe, Nao Tazawa, and Masahiko Morita: Child-Operated Telepresence Robot: a Field Trial Connecting Classrooms between Australia and Japan, Proceedings of IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS 2013), pp.5896-5901, Tokyo, Japan, November 2013 [pdf, 1.6MB, IEEE Xplore]
  • Fumihide Tanaka, Toshimitsu Takahashi, Masahiko Morita: Tricycle-style Operation Interface for Children to Control a Telepresence Robot, Advanced Robotics, Vol.27(17), pp.1375-1384, 2013 [draft pdf, 1.3MB] [published version, 938KB]
  • 田中 文英,高橋 利光,松添 静子,田沢 奈緒,森田 昌彦: 世界の子ども達をつなぐ遠隔操作ロボットシステム:コミュニケーション促進効果の検証. 第27回人工知能学会全国大会,富山,2013年6月. [pdf, 1.02MB]

ケア・レシーバー型ロボットを用いた子どもの教育支援

< 科研費・若手研究(A) 採択研究課題(H23~H26)>

従来提案されてきた教育支援ロボットは、生徒を教える「教師役のロボット(下左図)」でした。それに対して我々は、生徒に教えさせるタイプのロボット(ケア・レシーバー型ロボット:下右図)を提案し、その有効性を様々な実証実験により確かめています。

従来型の教師役もしくはチャイルドケア・ロボットは倫理上の問題点も指摘されており、また、生徒は受身の学習になりがちです。それに対してここで提案するケア・レシーバー型ロボットは、生徒にロボットを教えてもらい、結果として教えることによる学習(learning by teaching)を引き起こすもので、真逆の発想に基づくものです。

我々の過去研究(下記2007年のPNAS論文参照)によって、子どもたちはロボットのお世話をすることが大好きで、自発的かつ興味もとても長続きすることがわかっています。このケア・レシーバー型ロボットは、その性質を教育支援に活かしたもので、意図的に不完全な(弱い)ロボットを導入することによって、周囲の人間のパフォーマンスを引き出そうとしています。

我々は実際につくば市内にある子ども向け英会話教室にてフィールド実験を行いました。人間の教師による通常の英単語学習の授業に、生徒の子どもたちと混じって出来の悪い(教師の出す問いを誤答したりする)ロボットを導入したところ、子どもたちからロボットへの教示が数多く発生し、その結果、子どもたち自身の英単語学習も促進されることを確かめました。

このアイデアは英単語学習以外の様々な教育の場面にも応用可能であり、かつ、倫理的な問題も少ないとのことで、広い分野の研究者・専門家や現場の教師たちから高く評価されています。

近年、各国の研究者たちによって、障害を持つ子どもたちの学習やセラピーへの適用も始まっており、国際会議では最新成果が毎年のように報告されています。

より詳しい内容については、以下の論文を御参照下さい。

  • Fumihide Tanaka, Shizuko Matsuzoe: Children Teach a Care-Receiving Robot to Promote Their Learning: Field Experiments in a Classroom for Vocabulary Learning, Journal of Human-Robot Interaction, Vol.1(1), pp.78-95, 2012 [pdf, 280KB]
  • Fumihide Tanaka and Takeshi Kimura: The Use of Robots in Early Education: a Scenario based on Ethical Consideration, Proceedings of the 18th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2009), pp.558-560, Toyama, Japan, September 2009 [pdf, 263KB, IEEE Xplore]
  • Fumihide Tanaka, Aaron Cicourel, Javier R. Movellan: Socialization between Toddlers and Robots at an Early Childhood Education Center, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA (PNAS), Vol.104(46), pp.17954-17958, 2007 [pdf, 801KB] [The movie files referred in this paper are also available at the PNAS web: here]
  • 松添 静子,田中 文英:教育支援ロボットの賢さの違いが子どもの英単語学習に及ぼす影響,人工知能学会論文誌,Vol.28(2),pp.170-178,2013 [pdf, 3.1MB]

ソフトバンクロボティクスPepperの教育志向アプリ開発

当研究室の責任者である田中文英准教授は、ソフトバンクロボティクス株式会社からの依頼を受けて、同社が開発した人型ロボットPepperのアプリケーション開発に協力しました。下の写真は2014年9月18日に発表(プレスリリース)された、子ども向けの教育志向アプリケーションです。田中准教授の監修の元、トライオン株式会社・M-SOLUTIONS株式会社によってアプリケーションの開発がなされました。

本アプリケーションは、上方で説明した「ケア・レシーバー型ロボット」の設計論を取り入れて開発されたもので、子どもたちがPepperを教えながら楽しく自然に英語を学べるように作られています。その後2015年6月20日に発表された一般発売用のPepperにも本アプリは搭載され、私たちの行ってきた研究が商品化される運びとなりました。

 

その他、本アプリには私たちのこれまで10年間以上にわたる子ども-ロボット研究で得られた様々なノウハウが取り入れられています。たとえば、下の写真にあるようなハイタッチの代表される物理的相互作用の効果については、田中のUCSD時代に詳細な分析が行われました。

ここで開発されたアプリケーションに関する詳しい内容については、以下の論文を御参照下さい。

  • Fumihide Tanaka, Kyosuke Isshiki, Fumiki Takahashi, Manabu Uekusa, Rumiko Sei, Kaname Hayashi: Pepper Learns Together with Children: Development of an Educational Application, Proceedings of the 15th IEEE-RAS International Conference on Humanoid Robots (Humanoids 2015), pp.270-275, Seoul, Korea, November 2015 [pdf, 1.07MB, IEEE]
  • 田中 文英,一色 恭輔,高橋 史樹,植草 学,清 るみこ,林 要:子どもと共に学ぶPepper ~教育志向アプリケーションの開発~,第20回ロボティクスシンポジア,軽井沢,2015 [pdf, 1.1MB]

 

子どもと高齢者:世代をつなぐ知的インタフェースの研究

< 科研費・基盤研究(A) 採択研究課題(H27~H31)>

高齢社会においてはシニア層の労働力活用が非常に重要です。これまで主要な労働力の源となってきた中年層は人口減少していくため、これまで以上にシニア層の活躍が求められていくことでしょう。また、適度な労働はシニア層に対して生きがいをもたらしうる側面も大事です。今後このような背景下でシニア層の社会参加が実質的に増していったとすると、世代間にまたがるコミュニケーション機会が社会のあらゆる場面において増えていくことが予想されます。そうした社会では、いわゆるジェネレーションギャップなど世代間のコミュニケーションを阻害しかねない場面の適切なサポートが重要であり、そこに情報技術:知的インタフェースの貢献領域が広がっています。私たちは、東京大学の高齢者クラウドと連携して、こうした「世代をつなぐ知的インタフェース」の研究を始めています。

私たちの最初の具体的なフィールドは、遠隔教育です。シニアの自宅と学校をインターネット接続して、シニアに自宅から授業を行ってもらう場面を扱います。この両者をつなぐ知的インタフェースとして、双方向型のテレプレゼンスロボット(下図参照)を開発しています。このロボットは双方間の潜在的なジェネレーションギャップを埋めてスムーズなコミュニケーションを維持する知的機能を有しており、質の高い遠隔教育を提供します。

現在、アクティブなシニアのコミュニティであるSSA:スマートシニアアソシエーションの協力を得て、フィールドテストを実施しています。SSAは、シニア世代の新しい生き方を提唱されている日野原重明先生の「新老人の会」を母体とするコミュニティで、私たちの活動にも多大な活力とアイデアを与えて下さっています。

 

本プロジェクトはまだ新しいプロジェクトですが、学会において随時最新の進捗報告を行っていきます。人工知能学会全国大会では2015年から毎年オーガナイズドセッションを開催しており、今年2016年も開催が決定しています。以下は初年度に発表した論文です。

  • Erina Okamura, Fumihide Tanaka: A Pilot Study about Remote Teaching by Elderly People to Children over a Two-way Telepresence Robot System, Proceedings of the 11th ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interaction (HRI 2016), pp.489-490, Christchurch, New Zealand, March 2016 [free pdf available at ACM DL here, 160KB]
  • 田中 文英: 世代をつなぐ知的インタフェース:幼児教育と高齢者就労の接点を考える. 第29回人工知能学会全国大会,函館,2015年5月. [pdf, 292KB]

発達障害者の感覚過敏データ収集と支援技術の開発

< 科研費・新学術領域研究 採択研究課題(H24~H28)>

「蛍光灯の光を見ると痛みを覚える」「雨音を聞くと痛みを覚える」「壁の特定の模様がどうも不快だ」など、広義に感覚過敏に悩まされている人々は少なくないと言われています。ここで難しいのは、感覚過敏の症状は千差万別で、個人差も大きく、そうした症状を体系化するためのデータも未だ非常に少ないことです。本研究では、誰でも手軽に使えるスマートフォン上のアプリケーションを用いて、こうした感覚過敏の一次データを収集することを目指します。ユーザが感覚過敏を覚えた場面に遭遇した際に、即座にその対象を記録可能なアプリケーションです。東京大学・先端科学技術研究センターの発達障害当事者研究グループとの共同研究によって、こうしたアプリケーションの開発とデータ収集・分析を行っています。

 

  • 田沢 奈緒,綾屋 紗月,熊谷 晋一郎,森田 昌彦,田中 文英:発達障害者の感覚過敏要因収集のためのスマートフォンアプリケーションの開発,第28回人工知能学会全国大会,松山,2014年5月. [pdf, 259KB]

言いっぱなし聞きっぱなしSNSの開発

病気や障害など、困りごとを抱える人々同士の語り合いをうまくモデレートする方法のひとつに「言いっぱなし聞きっぱなしのルール」が知られています。これは元々、発達障害当事者研究コミュニティの活動の中から見出されてきたルールです(参考文献)。ここで特徴的なのは、ミーティング形式をとりながらも会話や反応を返すことを禁じており、相槌やアイコンタクトなども控えるようにされていることです。これによって、参加者全員が場の雰囲気を「緩く」共有しながらも、各自が自分の語りに集中することが可能となり、様々な効果が得られると言われています。

本研究では、この「言いっぱなし聞きっぱなしの原則」にヒントを得た、新しいタイプのSNSを開発中です。テキストチャットをベースとしたSNSですが、時間的・空間的に発言表示がバラバラにされており、発言同士の関係性が曖昧になるよう設計されています。現在、このSNSの開発を進めると同時に、このSNSが有効性を発揮する対象や場面の整理を進めています。

  • 市川 嘉裕,田中 文英:言いっぱなし聞きっぱなしエージェントによる安定した語りの場の構築,第30回人工知能学会全国大会,北九州,2016年6月. [pdf, 648KB]
  • Yoshihiro Ichikawa, Fumihide Tanaka: Displaying Speeches Method for Non-Crosstalk Online Agent, Proceedings of the 2016 AAAI Spring Symposium Series, pp.354-355, Stanford, USA, March 2016 [free pdf available at AAAI here, 1.1MB]
  • 市川 嘉裕,綾屋 紗月,熊谷 晋一郎,田中 文英:発言同士の関係を曖昧にする発言提示方法の提案,情報処理学会研究報告,Vol.2015-ICS-180 No.5,pp.1-7,2015 [pdf, 1.1MB]

First Two Months Project (FTMP)

田中研に卒研配属されると、最初の二か月間で自由課題のプロジェクトを行います。研究室のテーマにとらわれず各自が自由にテーマを設定し、実装から最終発表までを、アドバイスを受けながら独力で行います。

ヒューマンロボットインタラクションにおいて忘却機能が与える影響について
(笠井 翼,2016年度)

word2vecと多層パーセプトロンを使用した文章から印象の推定
(野口 洋平,2016年度)

個人の行動により生ずる集団的ルールの創発
(梅田 将孝,2015年度)

Pepperと体で覚える音楽用語
(岡村 栄里奈,2015年度)

Plutchikの感情の輪に基づいた感情推定モデルによる言語的返答システムの構築
(時崎 涼輔,2015年度)

 

(2016.7.8 更新)